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いつも笑顔を忘れないで

土田淑子
山口県
掲子は昭和三十八年、長女として生まれました。早産の未熟児で医師からは、「助からないだろう」と言われましたが、産声をあげ人並みに泣きホッとしました。いろいろなことを乗り切り、長い入院生活を終えて退院しました。
それからがまた大変で、子育て一年生で何もわからず、ただ、無我夢中で育てました。体も小さく弱く、すぐ風邪をひき、小児科、耳鼻科と哺乳瓶を持ち歩くことも度々でした。
お陰さまでやっとヨチヨチ歩きを始め、可愛くなって遊んでおりましたが、どうもおかしいのです。いくら呼んでも音を出しても反応がないので、心配で夜も眠れませんでした。悩んだ末、思い切って九州の大学病院へ連れて行きました。何回か検査の結果、医師の診断では、「聴力はないようです。立ち木が枯れるように聴覚を失ったのでしょう。現在では治る見込みはありません」と言われました。ショックで頭の中が真っ白になり、どのようにして家まで帰り着

 

 

 

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